一方、不安や心配ごとを伝えることが「十分ではなかった」患者さんでは、「あまりイメージできていなかった」33%、「まったくイメージできていなかった」9%で、合計41%が治療後の生活を十分にはイメージできていませんでした。不安や心配ごとを医療従事者に伝えられることと、治療後の生活を具体的にイメージできていることの関連が示唆されました。
9月は前立腺がん啓発月間
前立腺がん患者に残る ”生活情報ギャップ”
患者さんの7割が「治療開始前にもっと知りたかった情報あり」
男性で最も多く診断されるがんである前立腺がん。治療法の選択肢が複数ある中で、患者さんが治療後の生活まで具体的にイメージし、納得して治療を選択するためには、どのような情報が必要なのでしょうか。排尿機能や性機能への影響、仕事や趣味をこれまでどおり続けられるかなど、治療後の暮らしは患者さんにとって大きな関心事の一つです。
日本ベクトン・ディッキンソン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:長瀬信弥、以下「日本BD」)は、前立腺がん治療経験者100名を対象に、治療選択時の理解度、情報ニーズ、不安、医療従事者とのコミュニケーションなどの実態を把握するインターネット調査を実施しました。
本調査から、前立腺がん患者さんは治療効果や再発リスクを重視して治療を選択する一方、治療後の日常生活への影響に強い不安を抱えていることが分かりました。治療法や治療効果については8割以上が一定程度理解し、72%が治療後の生活を一定程度イメージできていた一方、治療後に振り返って「もっと知りたかった情報」があった人が71%でした。その中で特に、「日常生活への影響」が32%で最多でした。
また、不安や心配ごとを医療従事者に十分伝えられなかった群では、41%が治療後の生活をイメージできていなかったのに対し、十分伝えられた群では8%にとどまりました。これらの結果から、治療法や治療効果の説明に加え、患者さんが不安や心配ごとを医療従事者に十分伝え、治療後の暮らしを具体的に理解するための情報提供と対話を充実させることが、より納得感のある治療選択につながる可能性が示唆されました。
主な調査結果
1. 治療選択時の最大の不安は「治療後の日常生活への影響」
治療法を選択する際に重視したこととして最も多かったのは「治療効果」59%で、次いで「がんの再発リスク」48%でした。一方、治療法を選択する際に不安を感じたり気になったりしたことでは、「治療後の日常生活への影響」61%が最も多く、「再発・進行への不安」56%、「副作用・合併症」52%が続きました。治療成績を重視しながらも、治療後の暮らしがどう変わるかは、患者さんにとって大きな関心事であることがうかがえます。
2. 治療後に振り返っても、「日常生活への影響」が最も知りたかった
治療開始前に受けることができる治療の選択肢について、「十分に理解できている」+「ある程度理解できている」が8割以上であった一方、治療後に振り返って「もっと知りたかった」と感じた人は71%で、そのうち、「日常生活への影響」32%が最多となり、「副作用」31%、「再発率」27%が続きました。
なお、治療法を選択した時点で、治療後の生活を「十分にイメージできていた」人は11%、「ある程度イメージできていた」人は61%で、合計72%でした。
治療法や効果について理解し、生活も一定程度イメージできていたとしても、治療後の日常生活をより具体的に理解するための情報ニーズがなお残っていた可能性があります。
さらに、治療法別にみると、治療選択時に説明を受けたと感じる程度には差がみられ、手術(前立腺全摘術)については90%が説明を受けたと感じているのに対し、放射線治療の一種である小線源療法については27%にとどまり相対的に低い結果となりました。患者さんが各治療選択肢について十分な情報を得たうえで比較・検討できる環境づくりの重要性がうかがえます。
3. 不安を十分に伝えられた患者さんほど、治療後の生活をイメージできていた傾向
治療選択時に不安や心配ごとを医療従事者に「十分に伝えられた」患者さんでは、治療後の生活を「十分にイメージできていた」21%、「ある程度イメージできていた」72%で、合計92%が治療後の生活を一定程度イメージできていました。
※回答割合は小数点以下を四捨五入して表示しているため、内訳の合計が100%にならない場合があります。
一方、不安や心配ごとを伝えることが「十分ではなかった」患者さんでは、「あまりイメージできていなかった」33%、「まったくイメージできていなかった」9%で、合計41%が治療後の生活を十分にはイメージできていませんでした。不安や心配ごとを医療従事者に伝えられることと、治療後の生活を具体的にイメージできていることの関連が示唆されました。
4. 治療前の生活イメージが具体的な患者さんほど、実際とのギャップが小さい傾向
治療後の生活イメージが全くできていなかった、あるいは覚えていない・わからないと回答した人を除く92人のうち、治療前に治療後の生活を「十分にイメージできていた」患者さんでは、82%が実際の治療後の生活について「おおむねイメージしていたとおりだった」と回答しました。「ある程度イメージできていた」患者さんでは62%、「あまりイメージできていなかった」患者さんでは30%でした。
※回答割合は小数点以下を四捨五入して表示しているため、内訳の合計が100%にならない場合があります。
また、「あまりイメージできていなかった」患者さんでは45%が「イメージしていたよりも影響が大きかった」と回答しました。治療前に、治療後の暮らしをより具体的に理解できる情報を得ることが、実際の治療後生活との認識ギャップを小さくする可能性があります。
調査結果から示唆されること
「治療を選ぶための情報」と「治療後の生活を理解するための情報」は、必ずしも同じではない可能性があります。小線源療法を含む全ての治療の選択肢について、治療法や治療効果に関する情報に加えて、各治療が治療後の生活にどのような影響を及ぼすのかについて、患者さんが不安や優先事項を医療従事者と話し合えることが重要と考えられます。
治療後の生活を具体的に想像できる情報提供と対話を充実させることにより、患者さんが治療を長期的な視点で検討し、より納得感のある意思決定を行うことにつながる可能性があります。
東京慈恵会医科大学附属病院 泌尿器科
准教授 診療副部長 三木 健太 先生
前立腺がんは、早期に発見されれば、適切な治療によって根治を目指せる疾患です。だからこそ、治療法を選ぶ際には、医学的な治療効果だけでなく、治療後にどのような生活を送りたいかという視点も重要です。
今回の調査では、治療法や治療効果については理解していた一方で、治療後の日常生活への影響について「もっと知りたかった」と感じている患者さんが多いことが分かりました。
前立腺がんには複数の治療選択肢があり、それぞれに期待される効果だけでなく、治療後の生活への影響にも違いがあります。そのため、患者さん自身が情報を集めるだけでなく、医療従事者が、自らの専門領域や自施設で提供できる治療にとらわれず、患者さんにとって必要な選択肢を公平に提示することも重要な責任の一つです。
排尿機能や性機能への影響に加え、仕事や趣味など、患者さんが大切にしていることについても十分に話し合い、患者さん一人ひとりが、ご自身の価値観や希望に沿って納得して治療を選択できる環境を整えていくことが重要だと考えます。
日本BDの取り組み
日本BDは、前立腺がんを含む疾患領域において、患者さんが治療後の生活も見据えて納得感のある意思決定を行えるよう、疾患啓発、患者さん向け情報提供、医療従事者との対話を支援する取り組みを行っております。 その一環として、前立腺がん患者さんとそのご家族に向けて、治療選択肢の一つである小線源療法について理解を深め、治療後の生活も含めて考えるための情報を、ウェブサイト「ブラキ・サポート (https://brachy.jp/lp_treatment/)」で提供しています。
調査概要
調査名 | 前立腺がん患者の治療選択に関する実態調査 |
| 調査目的 | 前立腺がん患者における治療に関する理解度、情報ニーズ、不安・希望、治療選択時の課題を把握すること |
| 調査対象 | 前立腺がんの治療経験者 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2026年7月24日~8月7日 |
| 有効回答数 | 100名 |
| 実施主体 | 日本BD |
前立腺がんについて
前立腺がんは、男性で最も多く診断されるがんであり、前立腺に発生する悪性腫瘍です。初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると尿が出にくい、頻尿、血尿などの症状が現れることがあります。多くは比較的ゆっくり進行し、早期に発見して適切な治療を受けることで根治が期待できます。
本プレスリリースは、報道関係者を対象に、BDグループに関する最新情報を提供するものです。
患者さんや一般の方向けに、顧客誘引や医学的アドバイスを目的としたものではありません