Venous Technology
下肢深部静脈の治療

BD は、静脈領域における臨床上の課題解決に貢献できるよう、先進的な製品の提供に取り組んでいます。

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概要

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既存の治療法では治療が困難な症候性腸骨大腿静脈流出障害に対する新たな治療選択肢として静脈ステントが使用可能となりました。

深部静脈に何らかの原因によって血栓ができ、血液の流れを妨げてしまう「深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis :DVT)」やDVTの後遺症である 「血栓後症候群(Post-Thrombotic Syndrome :PTS)」では、治療後の血栓再発や頻繁な再治療、さらには病態の慢性化によりQOL(Quality of Life)が著しく低下してしまう症例が一部存在することが課題となっています。

VENOVO™ 静脈ステントシステムは、下肢静脈専用ステントとして、圧迫された静脈部位の拡張を物理的におこなうことで、従来の治療法だけでは十分な効果が得られなかった症例に対し、症状改善を目指す追加治療アプローチです。

静脈ステントの対象疾患

静脈ステントの治療対象は、次の2つの病態です。
(2026年1月1日現在)

深部静脈血栓症(DVT:Deep Vein Thrombosis)
発症からの期間:3 ヵ月以内*1

DVT の発生部位は半数以上が左下肢になります。骨盤部には、主に右総腸骨動脈と腰椎の圧迫(Iliac compression)による左総腸骨静脈狭窄や、さらに左総腸骨静脈の内膜肥厚を生じるMay Thurner(メイターナー)症候群が生理的に存在します。また重症例では疼痛が強く、コンパートメント症候群により下肢切断や静脈性壊疽を起こすことがあります。
肺塞栓症研究会の短期アンケート調査ではDVTの患者数は年間14,674人と推計され、発症率は年間100万人あたり120人となり、患者数は上昇しているとされています。*2

 

静脈血栓症後症候群(PTS:Post Thrombotic Syndrome)
発症からの期間:3 ヵ月超*1

DVT後の血栓遺残、弁破壊による逆流などで慢性的に静脈うっ滞の症状・所見が出現し、最終的には難治性である静脈性潰瘍を呈する病態をPTS とよびます。
わが国の観察研究においては、急性DVT後3年間におけるPTSの発症率は13% とあります。*2
発症の危険因子は、血栓の範囲が広い、同側のDVT再発、深部静脈の閉塞と弁不全の両者が存在することとされ、さらに肥満、生活環境、穿通枝や表在静脈の弁不全も関与するとされています。
ただし、DVT 発症初期の抗凝固療法が適正に施行された症例では発症が少ないとされています。*2

下肢静脈血栓症による代表的な症状
診断・検査方法

深部下肢静脈血栓症の診断・検査方法

  • 臨床所見(下肢の周径差、皮膚所見、Wells スコア*2
  • 血液検査(D ダイマー検査)
  • 下肢静脈超音波検査:血栓・静脈圧迫の有無、血流等の評価
  • 造影CT 検査:血栓・Iliac compression の有無、血流等の評価、肺血栓塞栓症の合併の有無
治療の選択肢

深部下肢静脈血栓症の治療選択肢

  • 抗凝固療法(DOAC、ワーファリンなど)
  • 理学療法(弾性ストッキングの着用など)
  • 外科的治療(血栓摘除など)
  • 血管内治療(機械的血栓除去、静脈ステント留置など)
治療の選択肢

深部下肢静脈血栓症の治療選択肢

  • 抗凝固療法(DOAC、ワーファリンなど)
  • 理学療法(弾性ストッキングの着用など)
  • 外科的治療(血栓摘除など)
  • 血管内治療(機械的血栓除去、静脈ステント留置など)
Reference

*1  5学会合同策定静脈ステントガイドライン(日本静脈学会、日本インターベンショナルラジオロジー学会、日本血管インターベンション治療学会、日本血管外科学会、日本脈管学会)2026 年1 月5 日発行版
*2  日本循環器学会/ 日本肺高血圧・肺循環学会合同ガイドライン、2025 年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン2025 年3 月29 日発行版

 

販売名:VENOVO 静脈ステントシステム
一般的名称:静脈用ステント
承認番号:30500BZX00065000
償還区分:静脈用ステントセット
製造販売元:株式会社メディコン

 

監修:並木クリニック/横浜南共済病院 孟真先生

 

掲載されている写真は、監修医師(並木クリニック/横浜南共済病院 孟 真先生)の提供に基づき使用しています。無断転載・複製を禁じます。

下肢静脈血栓症の分類

下肢静脈血栓症の分類は、急性DVTとPTSの両病態に対応した2つの臨床症状スコアとPTS を対象とした臨床分類があります。

  • CEAP 分類(急性DVT とPTS の評価)
  • rVCSS(急性DVT とPTS の評価)
  • Villalta スケール(PTS の評価)
CEAP 分類における臨床分類(C 分類)*1

C3 以上が静脈ステントの適応(C3、C4 はrVCSS 疼痛スコア、Villalta スケールの併用評価が必要)

Venous_臨床症状クラスと定義

rVCSS における疼痛スコア*1

急性DVT とPTS(CEAP 3 もしくは4)については、rVCSS pain score3(重度)あるいはrVCSS pain score2(中等度)かつVillalta スコア合計15 点以上で静脈ステントの適応となります。

Venous_rVCSS_疼痛スコアと定義​

Villalta スケール*2

Venous_Villalta_臨床症状と臨床所見によるスコア​

Villaltaスケールのビジュアルガイドは日本静脈学会の下記ページを参照ください。
https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2020/10/Villalta-2020.pdf

静脈ステント適正使用指針に基づく患者条件*1

5学会発行の静脈ステントガイドライン 適正使用指針に基づき、静脈ステントの使用にあたっては、以下の患者条件が示されています。

深部静脈血栓症(DVT)以下の条件をすべて満たす患者

  1.   腸骨静脈閉塞を含む深部静脈血栓症(発症後3 ヵ月以内)
  2.   ①動脈虚血を伴う重症の深部静脈血栓症(有痛性青股腫、有痛性白股腫、静脈性壊疽)あるいは、②抗凝固療法と下肢挙上あるいは圧迫療法などの適切な保存療法にても常時痛みあるいは不快感があり日常生活を著しく妨げる深部静脈血栓症(rVCSS pain score 3あるいはrVCSS pain score 2 かつVillalta スコア15 以上)
  3. 血栓溶解療法や、吸引・破砕・摘除術後で腸骨静脈に血管内超音波検査などで確認された血流を阻害し再閉塞を起こす病変があること。

 

深部静脈血栓症後症候群(PTS)以下の条件をすべて満たす患者

  1. CEAP 分類C6、潰瘍再発を伴うC5 であること、あるいはCEAP 分類C4・C3 かつ常時痛みあるいは不快感があり日常生活を著しく妨げる症例(rVCSS pain score 3 あるいはrVCSS pain score 2 かつVillalta スコア15 以上)である深部静脈血栓後症候群(深部静脈血栓症発症後3 ヵ月を超えている)。
  2. “慢性静脈不全症に対する静脈圧迫処置” 認定施設での適切な検査、診断、圧迫療法が施行されており、圧迫療法にて改善が得られる静脈高血圧が病因であると考えられる症例であること。
  3. C3 症例では純粋なリンパ浮腫が否定されていること。
  4. 総大腿静脈への適切な流入血管が存在すること。
  5. 画像診断で腸骨静脈閉塞あるいは側副血行の形成など明らかに血行動態に影響していると判断される狭窄病変があること。
  6. 表在静脈の形態および弁不全の評価がされており、表在静脈に適切な治療が行われていること。
Reference

*1  5 学会合同策定静脈ステントガイドライン(日本静脈学会、日本インターベンショナルラジオロジー学会、日本血管インターベンション治療学会、日本血管外科学会、日本脈管学会)2026 年1 月5 日発行版

*2  星野 祐二、静脈学国際指標の日本語翻訳事業3 -Villalta スケール日本語版 血栓後症候群(post-thrombotic syndrome; PTS)の他指標との比較も含めて-、静脈学2021; 32(1): 87.94(許諾を得て掲載)

監修:並木クリニック/横浜南共済病院 孟真先生
掲載されている写真は、監修医師(並木クリニック/横浜南共済病院 孟 真先生)の提供に基づき使用しています。無断転載・複製を禁じます。

静脈ステントの特徴と構造

静脈ステントは、ナイチノール(ニッケルとチタンの合金)を素材とする筒状の金属で、体温に反応して規定した径に拡張する形状記憶合金となっています。

また静脈ステントは、静脈の特性に合わせて設計・開発された医療機器で、狭窄または閉塞した血管に留置することで、血管内腔表面に外向きの力を与えて血管を拡張し、開存を保持することで血流を確保・維持します。

一般的な手技手順(抜粋)
  1. 8~10Frのシースイントロデューサーを血管内に挿入します。一般的に大腿静脈など下肢静脈からアプローチをおこないます。
  2. イントロデューサーシースを通じて血管内にガイドワイヤとサポートカテーテル等を用いて病変部を通過させます。(画像はガイドワイヤをサポートするカテーテルを併用するケース)

3.  急性DVT症例では、静脈ステント留置前に血栓除去カテーテル等で血栓を取り除きます。

4. 血管径に合わせたバルーンカテーテルを用いて腸骨静脈および大腿静脈の病変部を拡張します。

5. 静脈ステントを細くなった病変部位に留置します。

6. 静脈ステントが十分拡張し血管壁に密着するようにバルーンカテーテルで静脈ステントを拡張します。

7. 最後に確認造影をおこない、静脈ステントの拡張と血流の再開を確認して手技を終了します。

Frequently Asked Questions

A. 静脈ステント留置術の手術時間は、一般的に1-2時間程度とされています。但し静脈ステント治療の中には血栓除去(Thrombectomy)を伴うケースがあったり、PTS の完全閉塞ではガイドワイヤの通過に時間がかかりますので、症例により手術時間が前後する可能性があります。

A. 2026 年2 月現在の診療報酬に基づき、静脈ステントは1 本 335,000 円(2 本まで算定可)、技術料は32,100 点が適用されます。総費用はステントの本数や血栓除去デバイスの使用の有無や種類で大きく変動します。

A. はい。小冊子をご希望の方は、弊社営業担当またはカスタマーサービスにお問い合わせください。PDFは当サイトからダウンロードいただけます。

A. 日本静脈学会のウェブサイトに導入施設一覧が掲載されていますのでご確認ください。

日本静脈学会ウェブサイト https://js-phlebology.jp/

Reference

販売名:VENOVO 静脈ステントシステム
一般的名称:静脈用ステント
承認番号:30500BZX00065000  
償還区分:静脈用ステントセット
製造販売元:株式会社メディコン

関連製品

以下の製品群で、下肢静脈の治療を支援します

患者さん向け資材

患者さんに、下肢静脈疾患およびその治療について理解を深めていただくための冊子です。ぜひご活用ください。

医療従事者向け

深部下肢静脈に対する静脈ステント留置術に関して、対象疾患、術式、臨床成績等を紹介しています。

【静脈ステント使用可能施設リスト】
日本静脈学会のサイトをご確認ください。「静脈ステント適正使用指針」欄の下部よりご確認いただけます。

日本静脈学会  ガイドライン・適正使用指針・静脈評価指標

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